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研究テーマ

細胞情報処理システムの再構成

a. RTK-Ras-MAPKシステムの再構成

RTK-Ras-MAPKシステムの作動原理を解明するため、反応の初期条件、境界条件を操作しつつ、細胞内分子システムの反応パラメータを1分子計測で精密に決定することを目指して、セミ・インタクト細胞中に反応システムを再構成している。セミ・インタクト細胞は、細胞構造を保ったまま細胞膜に穴を開けて細胞質を透過性にしたものであり、細胞質を任意の溶液と置き換えることによって、半人工細胞を作ることができる。EGFに依存したERKの細胞質から核への以降を再現することが可能になっている。

ERKの核移行
セミ・インタクト細胞でのEGF-Ras-MAPKシステムの再構成:細胞外から加えたCFP-ERK (MAPK)はEGFによって細胞質(左)から核内(右)に移行する。

b. ERK活性化反応の大腸菌内再構成

ERKの活性化・不活性化反応

低濃度あるいは低分子数条件での生体分子反応ゆらぎの解析は、分子の動的構造と機能発現メカニズムを理解する上で重要である。「微小体積を持ち、自発的に様々な濃度条件を超並列化する試験管」として大腸菌内にERKの活性化・不活性化反応を再構成している。ERK2(MAPK)はMEK1(MAPKK)による2重リン酸化で活性化し、MKP3による脱リン酸化で不活性化する。