研究テーマ
光学顕微鏡を用いた計測技術の開発
a. 細胞内1分子可視化計測法の開発
精製した蛋白質や核酸分子の機能・構造計測に用いられていた1分子可視化計測法を、生細胞内の分子反応可視化へ拡張することにより、細胞内反応に関与する分子数とその分布、反応速度、拡散係数、輸送速度などを細胞システムを破壊せずに定量的に計測することを可能にした。1分子内の共鳴エネルギー移動計測により、細胞内分子の構造変化を計測することも可能になっている。この方法をさらに発展させるために、時間・空間分解能の向上、画像処理法を含む自動計測法の開発、蛍光相関スペクトル(FCS, FCCS)、光子計数ヒストグラム計測などの技術開発に取り組んでいる。
b. 情報伝達システムへの入力制御法の開発
細胞内情報伝達反応の時空ダイナミクスを明らかにするには、情報入力を時空制御する方法があれば便利である。ガラス表面にEGFを固定化する方法を開発した。細胞膜の受容体を活性化し、さらにセミ・インタクト細胞内の受容体の活性化を、蛍光標識した抗体や結合蛋白質で検出することができた。EGFの結合をパターン化することにより、情報伝達システムへの入力を空間制御することが可能になる。
c. 低分子量GTPaseの活性化検出法の開発
低分子量GTPaseは結合しているGDPがGTPに交換されることで活性化する。GDP/GTPの交換を可視化する方法を開発した。この方法は、YFPと融合させたGTPaseと、蛍光色素Bodipy-TRでラベルしたGTP (BPTR-GTP)との間で発生する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用している。